リール設計・開発|沖島 渓

「1製品1担当」でこだわりを込めたモノづくりが魅力

 忘れもしない入社2年目、ダイワの船釣り用リール「ティエラA」シリーズの設計を1人で担当しました。リールの糸を巻く部分をスプールといいますが、このスプールを回転させるギアの振動を抑えるためにギアそのものを再考し、リールのハンドルを巻いた時の滑らかさを追い求めることが私のミッションでした。

 2年目の大仕事、大学時代の学びのなかで最も役に立ったのは「論理的に考える」クセです。たとえば、ある目的のためにリールの部品を別のものに変える際、「ハンドルを長くすると糸を巻くのは楽になるけれど、一方で重量が重くなるというデメリットや強度が弱くなるという問題点」が出てきたとします。

 そこで、部品を別のものに変えた場合のリスクを徹底的に洗い出し、どのようにアプローチすれば効果的に解決できるか考えに考えてシミュレーションしていきます。仮説をたて、検証し解決しモノづくりに入る。図面を上げて工場が動き出してから問題に気付いたら会社に大損失を出してしまうので責任重大です。

 こういった流れでつくり上げた試作機を海で使い、理論を感覚として感じられたときは感動ひとしお。1製品1担当で設計者の発想やこだわりを込めたモノづくり、これこそが釣りのダイワの魅力だと思います。

 直近、異動となりこれからは基礎技術を研究することになりました。常に挑戦できる環境と、使用したときの感性を大事にした図面上の数字だけではないモノづくりの場がグローブライドには用意されています。