ロッド設計|青木 勇樹

釣り人の感性を数値でとらえ設計に落とし込む!

 「ダイワのモノづくりの大元はロッド(竿)だ」という気概を持ってロッド設計にあたっています。担当は川などの淡水釣りと磯釣り。なかでも鮎の友釣りの竿は最先端カーボンを使い、素材の進化とともに竿も進化し続けています。

 9㍍ 200㌘ほどという軽さに加え、「おとり鮎」と呼ばれる本物の鮎を泳がせて釣ることから鮎2尾分の重さに耐えられる強靱さも必要になる竿です。素材選びから竿を設計することがメイン業務ですが、ただ軽く強くすれば良いということではなく、求められる「引き味」など人間の感性に左右されるところが大きく、苦労しています。「大きい鮎とのやりとりをゆっくり楽しみたい」「おとり鮎をコントロールしたい」など人によって求めるものはさまざまで、しかもトレンドも変わります。

 情報収集のためフィールドテスト(実釣テスト)は当然ながら、展示会などプロモーションにも積極的に関わってもいます。お客様(消費者)とのコミュニケーションのなかから、感性を設計に落とし込むヒントをもらうこともあるからです。一方で、釣り人の感性を数値的にとらえロッド設計に落とし込めないか…を考えるのがこれからの課題。

 子どもの頃からの「魚好き」を原点に、大学では魚の形状と泳ぎ方からその遊泳効率を考えるなど流体力学分野の研究をしました。学生時代は研究室と釣り場を行き来する毎日。仕事と趣味は分けた方が良いという考え方もあるでしょう。ですが人生のなかで多くのエネルギーを注ぐ仕事にこそ、大好きという気持ちでぶつかっていきたいと私は考えています。